放課後、いつもなら一人で読書を楽しんでいるこの空間には、おっきな体の神楽木君がいて、とても居心地が悪いのデス。申し訳ないのデスが…。



「ねー、これ、どぎゃんしたら解けると?」



「これは、さっきの公式をここに…。」



神楽木君は赤点を取ってしまった数学を、一生懸命に解いてます。



とても可愛らしくて、直視したことなど殆どなかったのに、手を伸ばしたら直ぐに触れる位置いる神楽木君に、ソワソワしてしまうのデス。



わっ…私ってば、神楽木君はこんなに頑張っているのに、なんて女なのでしょう!



「なー、委員長ってさあ?」



「はい?」



神楽木君は急に公式を解いていた手を止めて、その、案外ゴツゴツした男子の手で、私の長い髪の束を掴みマシタ。



そして、躊躇うことなく、顔を寄せて、髪の毛の香りをくんくん、と嗅ぐ。



「なんか、蜂蜜みてぇなニオイ。イーニオイやな!」



至近距離からのその笑顔は、反則だと思うのデスが………!