私は遠慮なく近くから恋愛小説を手に取り、本を読み始め、神楽木君のシャーペンの音が、心地よく響いています。



たまに神楽木君から質問が飛び、それに答えるという、私としてはとても素敵な時間デス。



読んでいる恋愛小説は、わざと選んだ訳じゃないのデスが、バスケ部を舞台にした青春もの。



「そういえば、神楽木君が昨日やっていたあれ、何か技名があるのデスか？」



「昨日…？あ、リバウンドの、ことやろうか。」



あの、ゴールから弾かれたボールを取るのは、リバウンド、というのデスね。



「多分、バスケを知らん人は、シュートとかドリブルとかがやっぱカッコいいんやろうけど、あれも大事な技術なんよ？オフェンス…自分のチームの攻撃のチャンスば作れるけんね。」



「うふふ、神楽木君はバスケがお好きなんですね。あれ、とても格好良かったデスよ？」



バスケの話をする神楽木君はキラキラして見えて、素直に伝えると、神楽木君は机に突っ伏してしまわれました。



「あの、神楽木君？大丈夫デスか？」



「大丈夫やなかー。何それ、そんなオフェンス防ぎきらん！」



どういうことか良く分かりませんが、私は神楽木君を怒らせてしまったようデス。



それはとても、悲しいことだと、思うのデス…。