今日という日程、お出かけ前に緊張することは今までにありません。



「変ではないでしょうか…。」



図書館で勉強が目的とはいえ、学校以外で男の子と二人でお出かけだなんて、生まれて初めてのことで。



朝早くからソワソワしてしまい、お洋服は一番のお気に入りの白いレースのワンピに淡いサマーニットを羽織り、いつもは一つに結った髪の毛は緩く三つ編みにしてしまいました。



我ながら、気合い入りすぎ、デス。



お気に入りのみつばちマーチの塗り香水で、甘い蜂蜜の香りを更に強め、準備は万端。



昨日、すぐに神楽木君にメールで連絡をし、夜に指定された場所に、15分も前から待って、暑くてクラクラしそうデスよ。



「ごめん!待たせた!」



部活終わりの神楽木君は、急いで来てくれたのか、バスケ部の白と水色のジャージのズボンと、スポーツメーカーのTシャツ。



神楽木君はジーっと私を上から下まで観察して、黙っています。



やっぱり、似合わなかった、でしょうか?



「委員長…!あのっ!」



恥ずかしくなって俯いていた私でしたが、遥か上から声をかけた神楽木君に、おそるおそる顔を上げます。



神楽木君は、まるでトマトみたいに、可愛らしい顔を真っ赤に染めていました。



「スッゲー…似合っとる。可愛い。」



そして、ふいに、ホントに小さな声で、褒めて下さいました。



お世辞でも、嬉しくて、私は全身から火が出るほどに、熱くなってしまうのデス。