「違う!優未、なんか誤解してる…!」

隆太君が、私の肩をがっちりと掴む。

それでも、隆太君への怒りと悲しみは、消えなくて。


「誤解?!どこが、誤解なの?…隆太君が、可愛い女の子と一緒にいた…。これのどこが、どの辺が?!」

「だから、それは僕の…」

「本命の彼女なん…」

私が、言いかけた時に、隆太君に、屋上の扉へ壁ドンされる。

私を見下ろす隆太君の綺麗な瞳には、うっすらと涙が浮かび上がっていた。

「ちょっと、話聞いて…。……優未!」

「嫌だよ…。言い訳なんか……。だから、聞きたくないょ…」

「言い訳じゃないから、ちゃんと聞いて?あれは、僕の…」

「うるっさい!ヤメて!離れて!」

私は、隆太君が話している途中で、隆太君の体を思いっきり押した。隆太君は、少しよろめいたけど、転ばなかった。

「優未……」

「私、隆太君が大好きだった。今まで、純粋に。嫉妬しても、隆太君はいつも安心させてくれた。私だけだって、……。なのに…、私に嘘ついてまで…なんで……」

もう、私は……。私は…───。


「我慢出来ない。…隆太君、別れよう。…今まで、ありがとう…。楽しかった。……ごめ…」

「優未!…嫌だ!僕は、優未がいないと嫌だ!」

「私は…隆太君がいると……。自分じゃなくなるから…嫌だよ…。…バイバイ……」

「優…」

私は、隆太君に背を向けて、屋上から出てすぐにその場から離れた。


「……言っちゃった」

途中の階段で、私は立ち止まる。

もう、外は暗かったらしく。屋上にいたときは、気付かなかった。

「…ふぇ……ぅ…」


次々と零れ落ちる涙を無視して、私は鞄を教室に取りに行って、暗い夜道を独りで歩き家に帰った。


私と隆太君の関係は、ただの私の嫉妬で簡単に崩れた───。