「ふっ、ふふふーん」

私は、マナーは良くないけど。買って直ぐに、小さなチョコレートを口に含んだ。

「あっしたは隆太君とー、ポッキーをたっべってー」

その光景を想像するだけで、私の口元はホロホロッと緩む。

軽い足取りで私はデパートから出ようとする。その時、アクセサリーショップで見覚えのある姿と、女の子1人。

「…楽しみだなー。明日が、楽し…」

……あれ?あれれ?隆太君?

私は何故か隆太君にバレない為に、物陰に身を隠し、2人の様子を遠目にみる。

「…可愛い…」

隆太君の隣にいたのは、小柄で女の子らしいふわふわした女の子だった。笑うと、ふわっとしていて。天使みたいな笑顔だった。

「…用事って、あの可愛い子と会う用事だったのかな…?」

…ぇっと、あのー…。これって、…。うーん……。

「……………」

…あ、そうだ!見覚えあるだけで、隆太君本人じゃないのかも!

「あはは…、私、バカだなー…。隆太君が、そんな事するわけ…」

……いや、私が見間違える筈がない。…好きになった時から、隆太君の背中をみている。横顔をみている…。

誰よりも、…隆太君を遠目で見てた私が…。見間違える筈がないんだ…。

「なんだ。私、遊ばれてたんだ。一年以上も騙されていたのかな…」

何故か不思議と、私は冷静でいられた。理由は分からないけど。ただ、2人のことをみれた。

楽しそう。…あの指輪は、あの可愛い女の子にプレゼントするのかな…。まぁ、私より断然…お似合いだ。

「…そっか……。…私だけ」

隆太君のこと本気だったんだ。

「…口の中しょっぱい……」

チョコレートは、甘いのに。…何故か、今食べているチョコレートは……。

切ない程に…。

───しょっぱかった…。