あの後、先生に仮病演技を使って、即早退させてもらって、隆太君の家の前まできた。

だけど、チャイムを二回押したけど、隆太君は出て来なかった。


「寝てるのかな?」

後、一回鳴らして出なかったら、諦めて明日朝早く来よっかな…。

「神様、仏様、田村隆太様…。出て来て下っ…」

私が、チャイムを鳴らそうと指を伸ばすと、オデコにドアがぶつかった。

「いったぁ…」

私は、オデコを両手で押さえて、しゃがみこむ。

「…ゆ…ぅみ?」

「…お、おはよう。隆太く…っん!?」

私が、気まずい空気を出しちゃいながら話していると、その途中で隆太君に思い切り抱き締められた。

「…優未…優未……」

隆太君は、涙声で私の名前を何度も呼んだ。

「…ぁ、の…隆太く…ん…。あの、話を聞いて…」

「嫌だ。だって、もう会わないとか言うんでしょ……」

「違っ、その逆みたいな……」


「え?逆?」

隆太君は、ゆっくり私から離れて、私の顔を覗き込んだ。

「うん…。あの。隆太君…、ごめんなさい…。私の勘違いでした…」

「……………」

「私、あの日、デパートでお菓子買ったんだ…。隆太君と食べようと思って。…で、買い終わって帰ろうとしたら…。隆太君と…隆太君の彼女だと思っていた妹さんを見て…勝手に浮気だって、遊びだって思ってしまいました……。本当に、ごめんなさい…」

私は、隆太君に深々と謝った。

「優未…、頭あげてよ……。もう、大丈夫だから……」

「……………」

出来ないよ…、そんな早く頭をあげるなんて………。

「優未…。これはさ、優未が悪いんじゃないんだよ?…ちゃんと報告しなかった僕が悪いんだから。まぁ、驚かせたかったんだけど」

「違う…」

「ちょうど良かった。優未…、寒いから家にはいりなよ」

「…あ、ありがとう。……お邪魔します」


隆太君は、私の手を握って、隆太君の部屋の中にいれた。そして、私をふかふかのソファに座らせると、隆太君は机の上に置いてあった小さな箱を持って、私の所まできた。

「優未、手出して」

私は、隆太君に言われたとおりに、隆太君の前に手を差し出した。

隆太君は、小さな箱を開けて、入っていた物を私の薬指にはめた。

「へ?!」

「……指輪。それと、今日ポッキーの日だから、ポッキー買ってきてるよ…。ほら」

「それ、私とおんなじ」

「そう。あの日、時間は違うけど同じ場所で僕達は買ったんだよ」

「……そうだったんだ」

「うん。これは、もう運命だから…。…僕と結婚しようか」

「え、ええ、……ええええ?!」

突然のプロポーズに、私は思わず赤面してしまう。

「ダメ?かな……。返事…くれると…」

「いや、全然ダメじゃない!!…お、お願いします……」

「ふふっ…。今年は、変な返事しなかったね」

「あはは…、もう、あれはビックリしすぎて…。でも、いま一番ビックリしてるけど。嬉しすぎて、…ビックリを越してる…」

「…なら、良かった…。じゃあ、今、2人だけで、本物の誓いのキスしよ?」

「…………うん」

私と隆太君は、一回微笑んでから、2人で触れるだけの…優しいキスを何度も何度も…した。

「ついでに、子作りも今しちゃう?」

「し、しません!」



───君とケンカした原因は
──君に私が甘えていたから
─今の私は、幸せすぎだから

運命のポッキーで、ちゃんと仲直りをしよっか…──。