私が、プリントを眺めていると。クラスメートが。
「あのー、魔美村さん…。一年生の子が、魔美村さん呼んでほしいって」
「あ、私?…わかった。…えっと、誰かな?」
「ぇっと、教室の外にすぐいるよ…。可愛い女の子だから、すぐ分かるよ」
可愛い…女の子……ねぇ。
「ありがとう」
私は、クラスメートの子にお礼を言ってから、教室の外に出た。
そこには、私の予想通りの女の子がいた。
「ま、魔美村先輩…。は、初めまして」
そう、隆太君と一緒にいた女の子。
「…初めまして。えっと、何かな?」
「あの、田村隆太のことなんですけど」
わざわざ、報告かな…。
「…隆太君のこと?」
「はい…。それで、あの…。魔美村先輩…」
一年生の女の子は、もじもじと動いて、何かを言いたそうだった。
「……………」
やっぱり、報告だよね…。
「………さぃ」
「…………?」
「私の兄と、もう一回話し合ってくれませんか?!」
「……は?兄?」
え?ちょっと、待って?兄って、どういうこと?
「はい…。私、田村隆太の妹の、田村マキです」
「い、いいい…、妹?!」
「……はい」
あ、もしかして。私……。
最悪な勘違いをしてしまった!!!
私の顔は、段々青く染まっていく。
「……………」
ど、どうしよう……。
「…それで、兄と…。もう一度、話してくれませんか?……お兄ちゃん、先週の金曜日帰ってきた時、泣いていたんです」
「……隆太君が?」
それって、もしかしなくても原因、私だよね…?
「はい…。理由を聞いたら、大切な彼女に別れよう、って言われたっと。だから、魔美村先輩の所に来たんです…」
「そ、そうなんだ…」
「魔美村先輩」
マキちゃんが、急に真面目な瞳で、私を見つめてきた。
「…は、はい…」
「兄の事まだ少しでも好きなら…。もう一度、話し合ってあげて下さい。よろしくお願いします…」
マキちゃんは私に限界まで腰を曲げて、私に頭を下げてきた。
「あ、ちょっ!マキちゃん、頭あげて?」
「お願いします!一回だけでも…お願い出来ないでしょうか?」
「………。……う、ん。…分かった」
「本当ですか?!」
「うん……。ごめんね?マキちゃん…。私のせいで、大切なお兄ちゃんを泣かせちゃって…」
「いえ!話し合ってくれるなら、全然…。で、では!失礼します!…因みに今、家には誰もいないので話し合いには好都合かと……」
「そっか、ありがとう…」
マキちゃんは、それだけを言うと頭を何度も下げながら、一年生教室戻っていった。
って、ことは……。サボることになるけど。
隆太君の家に向かいます……。