それで、チャックを開こうとしたけど……。 寒さで震えて手が動かない……。 苦戦しながら財布と格闘していると、隣からくすっと笑い声が聞こえた。 え?と思って、君を見上げる。 君は少しの間笑ってから、財布を持っていない方の私の手をつかんだ。 「やるよ」 そしてその手に、何かを優しく乗せる。 途端に、手がじわじわと暖かくなった。 それは、君がついさっき買っていたコーンスープ。