恵太も拓真も同じように落ち込んだが、誰が誰を責める事も出来ず、イライラと沈んだまま体育館横の扉前で座り、ボールを触っていた。
部ではよく、見学者が黄色い声とともにあったのに、負けた様子からしばらく誰も近寄ってはこなかったんだ。
イライラが全面に出ていた俺は、不意にボールを投げると花壇に当たってしまい、花が潰れてしまった。
「 チッ… んだよっ、花なんか置くなっての!」
「 あーっ!! な… 花が… ちょっと!」
「 あ? なにお前、どけ 」
「 どけ じゃなーい!澤村くん、花、直してよ。花に当たっても意味ないよ! 」
「 当たってねぇし、邪魔だっつーの!」
俺から一歩たりとも下がらないで花を潰した俺を睨み文句を言ってきたのが綾女だった。
こいつ、確か同じクラスの佐々木 綾女…
「 イライラしてんだから どっか行け 」
「 わかった。イライラの邪魔はしないけど、せめて花に謝って… この花は特別なんだから 」
「 特別?俺とどう関係あんだ?」
花に謝れってアホか。花なんかで俺の気は晴ねぇ…
知らん顔して座っていると、綾女は大きくため息をついて俺の前にしゃがみ、じっと見たあと… パンッと俺の両頬を弾き添える。
「 なっ!?」
「 澤村くん、落ち着いて聞いて… ううん、やっぱり、その耳ダンボにして聞いて!あのね… 」
なに、コイツ… 俺がイライラしてんのわかんねぇのか?バカか?

