ある時、魚は言った。

「旅に出たい。」

と。

魚の所有者である男は
何も言わず
家の前に広がる大海原へと
魚を放り投げた。

魚はいきなり放り投げられたことに
少し腹を立てたが、
直ぐに懐かしい海水の心地に
身を潜らせた。