シルス・グランジス




『あと9本……』


美しい男……、
シルスは
恐怖に怯え行く、


女を見ながら微笑んだ。




彼は、
女の中から


自分の手を抜き出すと、


血と女の液で濡れた
手をシーツで拭いた。




そして加熱された
未使用のトングをまた



手に取る。




女は
死を予感した。



それでも
目の前にいる


自分しか知らない


彼の真の顔を


見ては拒むことが


できなかった。