その頃

マグネス達は
シルスの脳内につけたチップを
頼りに彼を
追っていた。


そして場所を特定し
シルスの元へと
向かった二人は
彼の変わり果てた姿に
驚いた。



やせ細り
髪は伸び放題
裸体は雨にうたれ冷え切っていた。

「なんだ、この変わり果てようは」

二人は息を呑みながら危険を承知で
車にシルスを乗せた。

「殺し…ください…」


シルスは
虚ろな目で
父親の顔を見る。

「一体…どうしたんだ…」

マグネスは
シルスの異常な変わりように
戸惑っていた。

「多分…シルスは感情が芽生え始めたんだ。善悪の判断が今頃から身についたんだ。」


マグネスと共に同行していた
ハイロは
冷静にそう答えた。


マグネスとハイロは
今になって改心したシルスに
同情を抱いていた。

人殺しのきっかけを
つくったのはシルス本人では
なくマグネスにある

マグネスは
その責任を感じて
やせ細ったシルスに
申し訳なく思っていた。


「僕の内蔵…脳を…
全てを貴方の…息子に…」

そう言い残しシルスは
疲労から逃れるように
眠りについた。