千春に手を引かれながら考える。 何でよ。 あんなに泣かされたのに。 あんなに苦しめられたのに。 もう高2だよ? 中学を卒業してから会ってないのに。 どうして消えないの? 忘れられないの? さっきの壁の目、空と 付き合い始めてちょっとしてからの時と、すごく似てた。 まだ、優しくて、大好きで──私が愚かだと気付いてなかった頃。