立ち上がって、市原くんや千春が去っていった方に目を向けて、壁を見ないようにする。 そうじゃなきゃ、平然でいられる自信がない。 でも、もう不自然なのかもしれない。 壁の声が真剣なものへと変わったから。 だけど、仕方がない。 「もしかして相野 空って人、知ってる…?」 名前を呼ぶだけで、私の心はまだこんなにも掻き乱されるのだから。