記憶の中の彼女が白というのなら、あの頃の芽依ちゃんは黒だった。 何かを諦めたかのように、伏せた瞳。 きつく結んだ唇。 楽しそうに話す近野の隣で、まるで彼女だけ、ここにいないような。 世界から取り残されたような顔をしてた。 …何があったんだって思うよりも先に あの頃の笑顔を俺が取り戻してみせる。 もう一度、あの頃みたいに笑ってほしい。 そう思った。 だけどその瞬間、頭に浮かんだのは 莉子だった。