「ぐはっ…」
バタバタしたら、私の肘が後頭部に直撃。
ちょっとジンジンするけど何とか逃れたぜ。
ったく油断も隙もありゃしない。
壁は背が高いから、担がれると高くて怖い。
しかも嫌いなやつに触れられるとか気分が悪いし。
「柳瀬さん、大丈夫?」
慌てて駆け寄ってきた市原くん。
私の顔を覗き込むように、そう聞いてきた。
──近い。
そう思うと、思いっきり彼を突き飛ばしていた。
あれから、条件反射。
一定の距離を崩されると体が拒否反応を起こすんだ。
だけど、心配してくれたのに感じが悪いにも程がある。
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