声がした方に勢いよく顔を向けるけど、持田が見つからなくて。


その場から動けず立ち尽くしていると、私の足元に倒れていた人の手が動いた。


そりゃそうだ。倒れていて意識を失ったりしてるだけで、決して死んでいるわけじゃない。



時間がたてば、動くわけで。



その手はゆっくりとこちらへ伸びてきて私の足を……掴もうとした。


だけど、何か大きな力によって体はコンクリートの壁へと飛んでいき、鈍い音をたてた。



突然の出来事に、固まる。

そこで初めて足を踏み入れたことを後悔した。


だけど、今さら、遅い。