その姿を確認することもせずに、私は彼の名前を呼んだ。



不思議とこの場へ飛び込むことへの怖さはなかった。



暗いその道は、よく見えないけど

複数の人が倒れてることが分かった。



ぼんやりと浮かぶ、派手な色をした髪から赤を探すけど、その中に持田がいるのかが、すぐに把握できなくて。



違う…違う、違う。



歯がゆさを押さえ込めずに、一歩踏み出そうとすれば






「……芽依、ちゃん?」





聞き慣れた甘い声が、少し震えながら、私の名前を呼んだ。