「……め、いっ」
大好きだった声が、私を呼んだ。
だけど私の視界は既に歪んでいて、目の前の彼が、相野 空がどんな顔をしてるのかが分からない。
あれだけ鮮明に覚えてたつもりなのに、久しぶりに聞いた声は、どこか違って。
記憶より、低くはなくて……あぁ、そうだ。最後の方は冷たい声しか聞いてこなかったから、いつからか優しかった頃の彼の声まで記憶を塗り替えてしまってたんだ。
だけど、彼は。彼の声は。
「元気、だったか…?」
どうしてこんなにも辛くて、苦しそうに聞こえるんだろうか。
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