お金に困ることはなかった。 夫に言えば、何でも手に入る生活だった。 ただ、そこには誰もいなく、一人ぼっちだった。 私は、別荘から少し歩いた場所に教会を見つけた。 そこへ毎朝行くのが日課になった。 他にすることがなかった。 『首相の妻、病気療養中』と週刊誌に書かれていることは、知っていた。 教会に行って、 私は泉輝の幸せを祈る。 私の罪が 泉輝に受け継がれることがないよう、祈り続けた。