「利用?」

「あいつを利用して、俺に近づこうって魂胆かよ」



そう言い放った俺に、尾関は「違う」と否定する。

尾関の瞳に、じわじわと涙が浮かんできていた。



あれだけ俺の周囲をうろついていたくせに……。

なにがきっかけで、おまえの気持ちは聡に傾いたんだ?

おまえが聡と付き合い始めて、俺はこのうえなく幸せを感じているけれど。


だけど……。

なにかウラでもあるのか?



「おまえは、俺のことが好きなんだろう?」



潤んだ目で俺をじっと見る尾関に。

そんな疑問が、自然と口からこぼれ落ちた。