聡は何度も、しつこく「マジでいいのか?」と確認する。
電話のむこうで、自分の頬を抓っている聡の姿が目に浮かぶ。
「マジで行くって言ってんだろ?」
うんざりした口調で言うと、聡は待ち合わせの場所と時間を告げ、最後に「楽しみにしてるぞ」と言って電話を切った。
それから成美の携帯に電話をして、聡たちとのダブルデートの件を伝える。
成美は意外にも二つ返事でOKした。
「そういえばあたし……、聡くんと話したことってあんまりないなぁ」
「そうだっけ?」
翌日、待ち合わせ場所の駅に向かう途中、成美が思い出したように言う。
「話したことって言えば、章吾くんに告白する時に呼び出してくれるように頼んだくらいで……」


