気づかれるだろ、と、顔をしかめて言う俺に、聡は顔色ひとつ変えない。 「なんだって、あのバカが参考書選んでんだ?」 「……あぁ、俺が誘ったんだよ。あいつ、期末試験の結果が悪かったみたいでさ」 「………はい?」 一瞬、耳を疑う。 『俺が誘った』? 『あいつ』?? 「おい、あんなバカと何で……」 「聡くーん!」 どうして尾関と一緒にいるんだ? そう聞こうとした瞬間に。 タイミングよく、あのバカが俺たちのところに駆け寄ってきた。