「……ってー……」 「……章吾……?」 ぶつかった顔を押さえていると、聞き覚えのある声が俺の名を呼ぶ。 ゆっくりと顔をあげると、そこにいたのは聡だった。 「聡……?」 「偶然だな。何してんだよ」 聡は爽やかな笑顔で言う。 「いや、参考書買いに来たんだけどよ」 俺は聡をぐいと引き寄せて、小声で説明する。 「あのバカも来ていてさ。しかも参考書見ているんだよ」 「あの……バカ?……あぁ、尾関か」 「バカッ、声がでけぇよ」