ふらりと中に入ると、冷房の心地よい風が全身を包み込む。
しかし、今日も暑かったなぁ。
気持ちのいい冷風に癒されながら向かう、参考書コーナー。
学生らしき客が数人、参考書が並ぶ棚の前に立っている。
「……げ……っ」
その中に……。
見たくもない物体が、イヤでも目に入ってきた。
なんで……、尾関がここにるんだ!?
しかもここは参考書コーナーであって、バカなおまえとは縁のないところだぞ?
尾関に気づかれないように、俺は差し足忍び足で参考書コーナーから脱出する。
そして尾関が立ち去るのを待ちながら、そのへんにあった適当な本を掴み、それで顔を隠しながら様子をうかがった。


