love letter~章吾~


数秒ほどのキスのあと……

ゆっくりと唇を離すと、成美は照れたようにうつむいていた。


――……あれ……?

さっきまで、ドクンドクンと鳴り響いていた心臓の音がぴたりと止む。


なんだ?

キスって、こんなもんなのか。

成美はキスの余韻に浸っているけれど……。

暴走しそうだった俺の理性はぴたりと治まる。



「章吾くん、つぎ、行こうか」

「あっ、あぁ」



成美が俺の手をキュッと握り、次のお化けゾーンへと続く扉をゆっくりと開ける。


あんなにドキドキしていたのに……。

キスした瞬間に、その気持ちは一気に吹っ飛んでしまった。