――なんてことになってる。



「くくっ……」



想像しただけで、笑いが出てくる。

あいつ、今頃なにしてんだろうな。

俺と成美が付き合い始めたことを、夏休み前に知ったらしくて。

身を引いたつもりなのか、最後は俺に話しかけてくることがなかったなぁ。


――……あぁ、なんて幸せな毎日なんだ。

あとは……、二年になって尾関とクラスが離れて、成美と同じクラスになれたら言うことなしなんだけどなぁ。



真っ暗なお化け屋敷に足を踏み入れると同時に、成美はぴったりと俺にくっついてくる。

こんなに密着するのは初めてで、俺の緊張はピークに達した。

成美はお化け屋敷の仕掛けに悲鳴をあげる。

けれど、いまの俺にとって、その仕掛けの数々は全く目に入らなかった。