いや、待てよ?

これをきっかけにして、尾関が聡を好きになれば……。


【悪いな、章吾。俺、尾関と付き合うことになったんだ】

【聡くん大好きー。もう笠原くんなんて好きじゃないからっ】


……これはイケるぞ!

でも、嫌いな女が親友の彼女になるってのも何だかなぁ。

今以上に尾関と接する機会が多くなることもあり得るし。

――……妄想するだけで鳥肌が立つ。


尾関が立ち去るのを廊下で待っていると、やっと予鈴が鳴り響く。

教室に戻ろうとドアに差し掛かったとき……。



「………!」

「あっ、章吾!ちょっと保健室に行ってくる!」



さっきまで尾関と話していた聡が、ひどく慌てて教室を出て行った。