「あの……、どうされますか?」 目の前の店員は、必死に笑いを堪え、搾り出すような声で聞いてきた。 「はいっ、主人が書いた日付でお願いします!」 すぐに調子に乗るバカは、照れた顔で俺のことを『主人』と言ったあと、一人で「キャー」なんて小さな悲鳴を上げていた。 どうするよ、俺。 引き返すなら今だぞ。 尾関と夫婦になっていいのか? コイツ、バカだぞ? すぐ調子に乗るし、すっげームカツクぞ? 「――章吾くん」 でもさ?