俺はおまえなんか見てねぇぞ。 おまえの『髪』を見ていただけであって……。 「おい、章吾……」 「あぁ、分かってる……」 パタパタと軽快な足音をさせながら。 ヤツがこちらに向かって小走りして来る気配を感じる。 来る……。 来る……。 「笠原くんっっ!」 来た―――っっ!! 俺は尾関の方なんか見向きもせずに……。