「まぁ……、無理もないよ」 目の前に佇む教会を見て、俺はぽつりと呟いた。 「あたし、カメラ買ってくる。章吾くん、先に中に入ってて」 「なんだよ、写メでいいだろ?」 「バカ言わないでよ。結婚式なのよ? ちゃんとカメラで撮らなきゃ」 膨れっ面でそう言うと、成美は教会を後にした。 深い溜息が自然とこぼれ落ちる。 帰りたい。 なにが悲しくて、俺は尾関の結婚式に出ないといけないんだ? そんな思いが溢れてきたけれど……。 言い換えれば、親友の結婚式でもあるんだ。