「なぁ、聡……」

「なんだよ」



打っている最中のメールを、一文字ずつ消しながら聡に話しかける。



「おまえさ、あの時……」



カチカチと味気ない音を立てながら、一文字ずつ消されていくメール。



「保健室で尾関にキスしてただろ」

「……おいおい、またその話かよ。おまえ、しつこいぞ」



ゆっくり消したつもりのメールは、あっという間にまっさらになってしまった。

俺は携帯をぱたりと閉じて、ズボンのポケットに押し込む。



「もう時効だからいいだろ? キス、してたよな」

「………」