溜息をついて、今度はテレビを観ようとリモコンを手にする。
家のテレビとは違う、大きな画面のテレビ。
電源を入れて、順番にチャンネルを切り替えてみる。
民放……、BS……、CS……。
へぇ、映画なんかも無料で観れるってことか。
感心しながら最後のチャンネルのボタンを押した瞬間――。
「―――!!」
目の前に映し出された、親父が隠し持っていたビデオと同じ映像……。
やっ、やべぇ!!
焦ってチャンネルを変えようとした指先が、不幸にも音量を上げるボタンを連打する。
部屋中に響き渡る、情事の声――。
「しょ、章吾くんっ!?」
バスルームから出て来た成美が、ひどく驚いた声を上げながら、俺からリモコンを奪い取る。


