歌い終わった佐川がコーラを一気飲みし、村澤は何か注文しようとメニューを見て亜弥と話している。
叶美はカバンからリップグロスを出して塗りながら俺に言った。
「 ねぇ、そういえば玲って帰ったの?」
「 いるよ、外のソファに 」
玲が帰ったと思ったのか… トイレにとは思わないのか?
玲はいつもそういう存在だ。
遠慮がちで、周りに気を配る優しい玲。
そんな玲はいるのに いない… でもいる。
みんな玲を気にも止めていないんだ。
たとえ今このまま玲が帰っても、きっと誰も気にしないんだろう。
そう思うと、今いない玲が気になった。
戻って来ない玲が気になった。
玲のやつなにしてんだ?
一緒に戻ればよかったな…

