「恋ねぇ…。難しい質問してくるね。恋って言うのは人それぞれよ。ってか、本当に自分の気持ちに気付いてないわけ?」
「へっ?」
「美羽がそこまでの鈍感ちゃんだったとは…ビックりだわ。じゃあ、教えてあげる。…恋をしてるって一瞬でわかることを」
「えっ?」
最後のほうは小さい声だったから聞こえなかった。
「べっつにー。目があった瞬間、ドキッとしたらそれはその人が好きってことだよ」
「目があったら、ドキッって、少女マンガなんだからそんなことあるわけないじゃん!」
ハハと笑う私に対して香穂はそんな私をニヤニヤして見てくる。
「それがあるんだなぁー。これは恋した人にしか分からない感情ね」
「私には一生無縁だなぁ」
「私はそうなる時は遠くはないと思うけど」
「それはないから!でもほんとにドキッってするわけ?」
「するする!私の経験談だから!」
「それいつの話?」
「うーん、中2くらい?」
「それが初恋?」
「そうなの!私もそんなのあり得ないって思ってたんだけど恋したらその感情がよくわかったなぁ〜」
一点だけをみてる香穂はそのときのことを思い出しているんだ。
「その子には気持ち伝えたの?」
「伝えようとしたんだけど、彼女できちゃってさ」
「そうなんだ…なんか思いださしちゃってごめんね」
「平気平気!って言いたいけど、今はさこんな風に話せるけどあの時すごく後悔した。みんなに告っちゃいな!みないに言われてたけど相手の気持ちが違う人に傾いてたのに私は知ってたから勇気でなかったんだよね。告白して断れるのが怖かったんだ」
そうだったんだ。
始めて知った。
「でも、今は伝えれば良かったって後悔してる。その人に彼女がいようが好きな人がいようが好きなもんは好きだし。自分が好きってことは伝えれば良かったなぁってね」
「後悔かぁ…」
「そう。だから、美羽みてると応援したくなっちゃうのかもなぁ。見てられたくてさ、美羽の行動が」
「私の行動?!」
「まぁ、さっきの話はいいや」
いや!よくないし!
なんの話かさっぱり分からない!!
「美羽はさ、恋をしたことがないんだっけ…?」
「うん。だから、どんな気持ちになるのか、好きって感情が分からない」
恋する気持ちってどういうのかわからない。

