『いらっしゃいませ~』
中に入るとお兄さんの明るい声が聞こえた。
『何名様ですか?』
「二人です」
『こちらへどうぞ』
窓側に案内された。
外じゃ分からなかったけどすごく混んでる。
店員さんが行くと、香穂がこう言いだした。
「さっきのお兄さん、カッコよくなかった!?」
と身を乗り出す香穂に対して私は
「そうかなー?」
と呆れ気味。
「ま、確かにあれは香穂の好みだね」
「でしょ~?なんかここ男の店員さん多くない?」
そう言われて、私はまわりをキョロキョロする。
確かに…。
まわりを見ると若い男の人ばっかりいる。
女の人もいるんだろうけど姿は見えない。
「それにイケメンばっかり…」
「ね!」
香穂、テンションが高くなってますね、完全に。
だって、さっきからこの人超好み!とか言っちゃってるんだもん。
相手に聞こえるか聞こえないくらいかの小さい声だけど。
…って、忘れてたけど私たちさっきからイケメンとか言っててメニューを開いてもいなかった。
慌てて目の前にあったメニューを開く。
香穂はまだ、イケメンに夢中…。
「香穂!香穂!メニュー見て!」
これじゃあ、いつ経ってもパスタ運ばれてこないよ…。
あれから、何分経っただろう…
「私、カルボナーラに決めた!」
「私はやっぱミートソースでしょ!」
それぞれ好きなものを頼んだ。
メニューを聞きに来たお兄さんもイケメンで香穂は目を輝かせていた。
そんな香穂を呆れた目で見ていた。

