「後ろに隠れなくても…こういう時は堂々としてなきゃ!」
私はそんなに堂々と出来ません!
そんな私の気持ちとは反対に周りの目線を気にすることなく、洋服を見ている。
「美羽ー!いいの見つけたっ!」
そんな声が聞こえて、まわりを気にしつつも早足で香穂の元へと行く。
「これなんかどう?今流行の千鳥柄!」
香穂がハンガーにかかったトップスを左右に揺らす。
その瞬間私の目がきらきらと光る。
「可愛いっ。それに決めた!」
香穂の手からトップスを取りかごに入れる。
「他に見るものある?」
ワンピースもトップスも見たし、
「ないよ。じゃ、レジへゴー!」
『ありがとうございました!』
大好きなブランドのショッパーを揺らしながら、次の目的のお店へと向かう。
「お目当てのもの買えてよかったぁー」
「ねっ!次はアクセサリーだね」
「そうそう。可愛いネックレスがあるの!それが欲しくて欲しくて。初めて雑誌見て一目ぼれしたよ!」
最高の笑顔でそう言う香穂。
「一目ぼれって大げさすぎでしょ?」
「見てないからそんなことが言えるんだね!美羽だってあれ見たら欲しい!ってなるから」
そんなわけないと思っていたけど、目の前のジュエリーケースを見たらそんなことは言えなくなってしまった。
だって、だって。
「かわいすぎっ!」
香穂は目をキラキラさせていて、私はと言うと香穂の隣でまた目を輝かせていた。
「かわいい…」
「だから言ったでしょ!!おソロで買っちゃいますか!」
「うん!!」
目の前のジュエリーケースに入っていくネックレスを二人でレジに向かう。
ハートのまわりにあるピンクのダイヤがきらきらと光ってて、ハートの中に『M』と私のイニシャルが入っている。
もちろん香穂のは『K』。
これは、誰だって一目ぼれするにきまってるわ。
長いケースに入ってるネックレスを握りしめてジュエリーショップを出た。

