たしかここらへんにあったはず。

トイレにある収納棚を
ごそごそ探った。

「あ、あった!」


手にしたのはまだ封をしたままの
妊娠検査薬。
たまった埃をふっと払う。

病院で不妊症と判断される前に使ってた
妊娠検査薬のあまりだ。

カレンダーを見て気づいたけど
1月後半に来るはずの生理が
まだきていなかった。


締め出されたポパイが
扉の傍にいる気配がする。

それと同時に、
もしかしたら・・・。
そんな気がしてならない。

ドキドキしながらその封を開けた。

真新しい検査薬。
陰性反応をみて何度がっかりしただろう。
というか、線が出るのを
見たことさえないんだけど。

真っ白の判定窓を見る、
あのトラウマは今も癒えない。


体温もそういえば少し高い気がする。

いや。
いけないいけない、
そう思って何度がっかりした事か。

自分で自分を窘め
あたしはゆっくりと便器に座る。


検査薬の蓋をあけ
それをそっと近づけた。