魅惑のキスネコ!【完】


順番が近づくにつれ
ドキドキが止まらなくなってくる。

どうしよう。
やっぱ怖いかも。

黙りこくるあたしの手を
ジンがそっと触った。

「わっ、
カナ手ぇつめたっ!
無理してならなくていいってば。
搭乗口で待てるところあるから
そこで待ってなよ。」

あたしはしばらく考え
素直に頷く。

「ゴメン、そうするわ・・。」

我ながらチキン。
でも無理。

だって近づくにつれて
乗ってる人の悲鳴や
レールがリアルに近づいてくるんだもん。

最初のいけるかも?
という感じはすっかりなくなってしまった。


それにホラ、
あたしだけじゃない。
搭乗口の脇で立っている人が数人居る。

あたしみたいに
列でプレッシャーに負けた人たちが
コースターに乗って行った仲間を待っているんだ。

あたしには
その気持ちはよく分かるよ。


そうこう思っているうちに
あたしもその場に立ち3人を見送った。

「じゃぁいってくるなぁ!」
ジンがヒラヒラと手を振る。

サヤカちゃんも気合十分に
こっちへ手を振った。

ポパイは相変わらず無表情。

乗りたくないなら
乗らなきゃいいのに・・・。


ガチャンガチャンと音を立て
ジェットコースターはゆっくりと
あたしの目の前を通り過ぎて行く。

乗らなかった事に後悔は
一寸たりとも見当たらない。

むしろ安堵。

おとなしく。
みんなが戻ってくるのを待つ事にした。