「まぁまぁ……はい、飲んで飲んで!」
取り繕うように笑う譲二から冷えたグラスを受け取ると一気に喉へと流しこむ。
そう、俺は客にも、逆ナンしてくる女にも……無論こっちへ寄って来ない女にだって、全く興味を抱けない。
目の前のカウンターには朝からスーツ姿の暇なオヤジが男を漁っている。
奴らはこのままラブホのフリータイムにでも消えたいんだろう。
憐れだけれど、俺たちみたいに生まれちまった以上、ここは大切は社交場であり出会いの場だ。
出会いなんかいらない俺は、単に他に行く場所が無いだけだけど。
ちなみに客がいる限り店を開けると言う譲二の熱い信念のお陰で、毎日昼前までここでぐだぐだしている。
別に……何をする訳でもなくただ酒を浴びて。


