そんな俺に向かいのおっさんは溜め息をつきながらいつものセリフを吐く。 「瞳は切れ長、笑った顔はベビーフェイス、背もそこそこ高いし……ホストとしては文句なしなんだけどねぇ」 自分を欺くためだけに装着されたグレーのカラコンをじろじろと覗き込むようにして言うこいつはこの店の店長譲二。 俺の……数少ない理解者でもある。 「んな事言われたって……俺だって好きでこんなんになったんじゃねぇ」 「カリカリしないの。あたしだってそうよ」 新宿2丁目に立つこの店は……いわゆるゲイバーだ。