どうしよう。



見れば界隈では無数のスカウトマンが常にだれかに声をかけている。



彼らと繋がらなくては、ただの一般人な私がこの世界に入る事は無理。



ハローワークじゃ冬弥には会えない。



もちろん、他にも方法はあるんだろうけど。私にはとても見つけられなかった。



とにかく、早く、会いたい気持ちでいっぱいで。



プチプラが売りの、若い女の子向けな店の前で一度足を止めふうっと息をついた。



道行く人に声をかけている人が数え切れないくらい多過ぎて、それがなんの勧誘なのかすらもう分からない。



出来るだけ怪しくなさそうな人で……風俗じゃなくて、でも冬弥に会えるくらいは稼げる仕事で……なんて考えてたらトントンと背中を叩かれた。



「キャバクラとか興味ない?」



振り向いた目の前に立っていたその人は、他のスカウトの人よりも落ち着いた人。



怪しげな黒っぽいスーツで勧誘してる人が多い中、この人は普通のビジネススーツにメガネ。



例えるなら執事。



目が合って瞬時の判断……そして



私は決めた!



このお兄さんに付いていく!