夜の仕事の事なんて良く分からないけどまずは偵察、と一人新宿駅を降りた。



家からそんなに遠い訳でもないのに、ネオン街へと足を向けると、少し不安になる。



新宿という街は遠くはないけれど、家族で駅ビルに来たくらいしかなじみが無い。



一人の足では呑みこまれてしまいそう。



その巨大さに反して、冬弥がいるのは一角にある細く細く伸びる繁華街。



おずおずと夜の世界へ足を踏み入れると早速、



「ねぇねぇ君!うちで働かない?」



と、声をかけられた。



そこは冬弥が働く「昇華」の入っているビルが見えるくらいに近い場所で……。



どうせ働くなら、この近所がいいけど、でもどうしたら。



これでも校内のミスコン3年連続No.1で殿堂入りした私。



見た目は悪くないかも、とは想う。



とはいえ、冬弥に惚れてから他の男子なんて全く興味なしだから……実は誰とも付き合った経験がない。