それから1年が過ぎたね。


冬弥は覚えてるかな?



覚えてる訳ないか。



偶然に街中で見かけて握手してもらった時の事。



ぶっきらぼうだけど……笑顔が優しくって、ヤバいぐらい胸がきゅんってしたんだから。



不器用っぽいところすら、私には魅力に思えたよ。



そんな私に真由は言う。



「ねー留美、また告白断わったって?」



「うん、だって冬弥じゃないもん」



冬弥しか見えてない私なのに、本気半分、ナンパ半分だろうけどここのところよく声をかけられていた。



またいつ出会えるかわからない冬弥の為に、大した知識もない私なりにちょっとだけ自分を磨いたからかもしれない。



「あんたね、出会えない人追っかけてどうすんの。せっかくの美貌がもったいない」



美貌って……そんなんじゃないし。



それに。



「何言ってるの? 絶対に出逢ってみせるんだから」



そうだよ、真由。



私は絶対絶対本気!



同じ国に同じ年で生まれて、一度は握手出来た距離にいるんだ。



それなのに諦められる訳が無い。