人間として人を愛せるようになった俺への、贈り物なのか? 問いかけたくても……その後、俺達が婆さんを見かけることはなかった。 「見て、笑ってるよ」 俺は……今では悔しいぐらいに、その笑顔にドキっとさせられる。 留美だけじゃない。 俺に良く似た長い睫毛と、良く似た輪郭を持った愛娘に。 「ありがとう」 そして 「愛してるよ」 歩き始めた俺を応援してくれる二人へ。 この言葉を、心から伝えたい。 苦労かけた分、必ず絆を作ってみせるから。 【完】