それから数ヵ月後。



俺は、モデルのバイトで貯めた金で優亜も大好きなブランドのスーツを思い切って購入し身に纏うと……ここ、ホストクラブ昇華の前に立っている。



ネオン街に堂々とそびえるビルは、今の俺にとってはまるで要塞のようだ。



「今日からよろしくお願いします!!」



しゃんと背筋を伸ばし、ドアを開けると



「来たな」



と優亜が顔を出す。



その姿を見て、挑戦的な視線を送っていた他のホスト達が一歩下がった。



「こいつは俺がスカウトした冬弥。ま、雑誌なんかで見てるとは思うけど」



当の俺は周りの顔を見る余裕もなく、ぺこりと頭を下げると意外にも好意的な拍手で迎えられた。



ぎらぎらに輝く世界での新しい生活が始まる。