【冬弥SIDE】 うざったい程の喧騒にまみれる人並みを抜け、ひっそりと営業するその店内に足を踏み入れた瞬間 「いらっしゃい♪冬弥」 どっから見ても体育会系のゴツい男が甘ったるい声をあげて俺にすり寄ってくる。 小さなこじんまりとした、行きつけの店だ。 「雨酷かったわね。はい、タオル♪」 「あぁ……ってか寄るな」 時刻は朝の8時。 窓から差し込む朝焼けが眩しくなって来た。 周囲のサラリーマンと逆行するように、俺は営業で疲れた体を引きずって大体毎日ここへとやって来る。