俺の残ってる給料で、客の未収金も回収できるだろう。 大体、そんなに無理に客から金を引っ張るのは俺の趣味じゃない。 「どこ行くんだ?」 「さぁな……落ち着いた所へ行けたらいい」 少し前までナイフのように世間を、特に女を睨んでいた俺はもうそこにはいない。 清々とした穏やかな気持ちだけがそこにある。