そして……その日はやって来た。
早過ぎる時間に指定されたスタジオに着いてしまった俺はひたすらそわそわと、憧れの優亜を待つ。
静かな部屋に、声が響いた。
「優亜です。宜しく」
柔らかい言葉と共に、扉の向こうから眩すぎるオーラが溢れ出る。
「あ……っと。冬弥です」
興奮を悟られないように、真面目ぶって差し出された手を握り返した。
そんな……握手をした優亜の手はにこやかな表情とは真逆で異常に冷たかった。
その瞬間にどうしてだろう、高鳴る鼓動。
何で?
何でも持ってる凄過ぎる優亜なのに……どうしてそんな氷のように冷たい手をしてるんだ?


