彼女の世界が変わらぬ理由


夏の日は長く、外はまだ明るい。

もう少し残っていられる。

そして作業を再開しようとした時、準備室から飛田が出てきた。

一人残っているマリアを見て、優しく微笑む。


「キミは本当に熱心だね」

「先生はもう帰られますか?」

「いいや。気の済むまで、続けてくれて構わないよ」


こう言ってマリアの斜め後ろに座り、作業をじっと見てくるのはいつものこと。

現在入院中の顧問も、同じようなことをしてきた。


「…キミたちくらいの年齢は、ストレートでいいね」


どうやら先ほどのやりとりを聞かれていたらしい。


「訊いてもいいかい」

「………」

「才能がないと言う割に、柚木くんは誰より熱心だ。それにキミの絵からは、強い執着を感じる」


マリアは飛田の方は見ず、ただ眉を寄せた。

やっぱり嫌いだと、改めて思った。